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「2020年に売上500億円達成」そのためには前向きな人材が不可欠。

南条装備工業株式会社
代表取締役社長 山口 雄司

更新日:2017年1月06日

1992年3月関西大学卒業後、1994年に東洋シートに入社。
米国法人勤務や欧州・アジア調査室課長、取締役執行役員などを経て、2017年2月から取締役専務執行役員。
南条装備工業では2014年2月に取締役執行役員に就任、今年4月に代表取締役社長に就任。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

開発力の高さで、顧客との厚い信頼を築く。

南条装備工業は、創業から100年以上の歴史を刻む自動車内装部品メーカーです。歴史に裏打ちされた開発力には定評があり、マツダ車のドアトリム領域で当社のシェアは9割以上。こうしたマツダとの厚い協業関係は当社の基盤と言ってもいいでしょう。この関係を大切にしながら、機を見て新たな可能性にもチャレンジできるよう、知見を蓄積していきます。

現在、2020年を最終年度とする中期経営計画を進めています。計画では、売上の最終目標を500億円と置いています。これは、現在の売上をほぼ倍増させる挑戦的な数字です。もちろん、楽観視はできないものの、不可能ではありません。500億円のうち270億円程度を国内市場でまかなう想定でしたが、こちらはマツダ車の好調な売れ行きなどもあり、3年後を待たず今年度にも到達できそうです。

既存事業の中で蓄積した提案力を横展開し、新規市場を開拓。

課題は海外市場です。競争の厳しい海外でどう地歩を固めていくか、しっかりした戦略を基に事業を推進しなければなりません。マーケットや完成車メーカーの動向にアンテナを張り、ニーズが表れそうな時に他に先駆けて応えられるよう、人材を揃え、技術を蓄えておかなければなりません。国内市場における新規顧客の開拓も、優先度の高いテーマの一つです。新規顧客の上流工程にいきなり切り込もうと思っても、そう甘くはありません。限られた経営リソースで最大限の効果を図るには、現状の実績を積み上げ、それを応用する道を探った方が、結果として効率的なのではないでしょうか。幸い、マツダとは信頼が築かれており、上流工程からいろいろ提案できる関係を構築しています。この環境の中でデザイン力や開発力を今以上に高めていきたいと思います。そこで培われたアイデアや技術を、少しずつ横展開して他社への提案に折り込んでいく。そうすれば、リソースを浪費することなく、着実に顧客との関係が築いていけるのではないでしょうか。

デザイナー5名を自前で擁する、業界では希少な存在。

コモディティー(汎用品)を軽視するわけではありませんが、その分野だけで戦うとコスト競争になって、消耗するばかりです。提案力・開発力で戦っていける体制をとっておかなければなりません。当社では設計や生産技術を担当する技術本部と、新製品を担当する開発本部を設置しており、両本部に150名の技術者を配しています。またデザインラボに5名の内装デザイナーが在籍しており、ドアトリムなどの加飾デザインに取り組んでいます。自前でデザイナーまで抱えて開発に取り組んでいる自動車内装部品のメーカーは、国内にほとんどありません。こうした開発の体制が、当社の強みになっています。マツダ車の9割のドアトリムを担当できているのも、この開発力によるところが大きいのです。

採用は、書類だけで判断するのではなく、人柄重視で。

当社の強みを活かしながら事業を推進するためにも、人材は重要ですね。当社は以前から中途採用に積極的に取り組んできたため、既に多くの中途採用スタッフが活躍しています。中途採用者だからとハンデを感じることもないし、誰でも気兼ねなく発言できる雰囲気があります。だから中途の人々にとっても、居心地がいいと思います。私も社長室に閉じこもっているのではなく、どんどん現場に足を運ぶつもりです。一人ひとりの社員と触れ合えば経営側の意思も伝えられるし、逆に社員の気持ちや意欲が事業を推進するヒントになることもあるでしょう。

採用にあたっては、履歴書や職務経歴書だけで判断するのではなく、人柄を重視します。前向きに取り組める人か、ポジティブな発想のできる人か、一緒に仕事してみたいと思える人か…といったことは、やはり会ってみないとわかりません。もちろん面接できる人数に限界はありますが、人材のために可能な限り時間を作りたい。人事にも書類だけで選別することは極力しないように、と言っています。もちろん、性別も関係ありません。メーカーではいまだに男性の方が多いですが、女性が男性に劣るなんてことは全くないので、優秀な方であれば仲間にお招きしたいと思います。

編集後記

コンサルタント
植田 将嗣

世界の自動車市場がどのようになっていくのか、その中で南条装備工業がどう戦っていくのか、自動車メーカーに求められているものは何なのか。最近では自動車メーカーはメーカーとして、サプライヤーはサプライヤーとして役割を担っていくだけでなく、もっと良い自動車を作るために、より緊密に連携してく時代になっているそうです。文中にもある通り、南条装備工業は自動車の内装メーカーには珍しくデザイン部門を持つ会社です。自動車が機能以上にデザインが重視される今、それを強化しメーカーとしても付加価値を更に高めていくという戦略、社員のみなさんもそこに共感している方が多いと感じました。

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