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異能の多国籍スタッフが協創し、独自のカルチャーをつくる。

株式会社ドリーム・アーツ
代表取締役社長 山本 孝昭

更新日:2016年7月01日

1965年2月12日生まれ
広島修道大学商学部卒業。
株式会社アシスト、インテルジャパン株式会社を経て株式会社ドリーム・アーツを設立、代表取締役社長に就任。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

会社設立20年目にして迎える、最大の好機。

当社のメイン事業であるビジネス向けITソリューションの世界は、まさに数十年ぶりの大変革期を迎えています。これまでバックオフィス系のシステムといえば、緻密な事前計画を立て検証を重ねたうえで全システムに展開していく「ウォーターフォール型」の開発手法が主流のため、大手SIerが得意とするところでした。

しかし、そうした従来型の手法は、現在主流となっているスマートデバイスの利用を前提とするシステム開発にはマッチしません。なぜなら、スマートデバイスの業務利用で主役となるのは、お客さまと対面する現場のエンドユーザで、さらに現場でのIT活用は、「やってみなければ分からない」という特徴があり、「確実に成果が出る」と判断してからの開発では、タイミングを逸してしまうからです。そのため、まず小規模で導入し、試行錯誤を繰り返し、スピード感を持って磨きあげていくことが重要です。

大胆な言い方をすれば、従来型のシステムは「完成時」が最大価値で、その後は時間の経過とともに価値は薄れていきます。しかし当社は、お客さまと粘り強く密接に向き合うことにより、トライアンドエラーを繰り返しながらスピーディに改変を加えることで、システムの価値を向上させ続けています。お客さまと共に試行錯誤しながら開発を進めていく「協創」の力こそが、我々の最大の特徴であり、強みなのです。

これまで磨いてきた強みと時代のニーズがうまく合致したことで、会社設立以来、最大のチャンスを迎えていると感じています。しかし、それらすべてに対応するだけのキャパシティが足りないのも事実で、この状況には危機感を持っており、優秀な人材の獲得が重要な課題であると認識しています。

独自のカルチャーが生み出す異能の融合、そして”協創”へ

当社の強みである「協創」の力を発揮するには、さまざまな役割をもつメンバーが、それぞれに高い専門性を発揮し、それを効果的に結び付けることが必要です。

徹底した現場主義で、顧客が持つ課題をキャッチアップするアカウントエグゼクティブ(営業)。それを解決し得るシステムをスピーディーにカタチにするプロダクトエンジニア。そして、優れたデザインでユーザビリティを向上させるデザイナー。こうしたメンバーがうまく結びつくことで初めて、私たちの価値が生まれるのです。

この「結びつき」は非常に難易度が高く、異質なものと思われがちです。それぞれが持つ能力やタイプが異なるため当然でしょう。例えるならば、「商人」と「学者」と「芸術家」が一枚岩になろうというようなもの。一筋縄ではいかないはずです。

一見対立する「異なる感性や知見」も、一つの目的を見据え、臆さず議論を重ねることで、単なる「結びつき」から「融合」へと導びかれ、結果として「協創」の力が生まれます。

互いに異なる視点で意見を出し合う相乗効果によって、新たなアイディアが生まれるのです。この状態こそが当社独自のカルチャーであり、「自分たちの強みの根幹である」というマインドが、メンバーの中で根付いているのです。

多様な価値観が融合する環境を目指して

当社は創業当初から実に多様な採用を進めてきました。性別や国籍、ロケーションなどのさまざまな壁を超えて、「才能ある優秀な人材であれば採用する」というスタンスを崩しておらず、中国の有名大学に何のコネクションも存在しなかった2005年に、独自ルートで中国人スタッフを獲得しました。

そのときにプロパー採用した中国人スタッフが、今では中国子会社の総経理(責任者)を務めています。現在では5カ国のメンバーがともに力を合わせています。

このように、多様なバックグラウンドや感性を持つ人材を採用し、「異能」同志が存在する環境を作ることによって、それらの「融合」が起こる確率を高めています。こうした採用が、先ほど述べたカルチャーの礎になっていることは間違いありません。

この環境の中にいる一人ひとりが、このドリーム・アーツのカルチャーを理解し体現することにより、先ほどから述べている当社の特徴である 「協創」の力が生まれ、さらに、「One DA」 というキーワードのもとにドリーム・アーツグループとして一丸となって価値を提供し続けています。

広島をIT人材の集積拠点にしたい。

2001年に開設した広島の拠点には15年の歴史があります。そして現在は、広島のR&Dセンター(開発拠点)を第二本社と位置づけ、拡充を図っているところです。実際にU・Iターン者を中心に採用を続けており、向こう3年で100名規模の採用を進めることも決定しています。

人材獲得市場は多くの産業が首都圏に集中しており、特にIT業界はその傾向が顕著です。このような中で、広島へのU・Iターン転職を希望するITエンジニアや業界従事者がいたとしても、希望に見合う会社や仕事に出会えないという実情があります。

私は何とかこの状況を変えたいと考えており、少しおこがましいかもしれないですが、当社が先行事例となることで類似の人材の流れが増え、結果として広島がIT人材の集積拠点になることを願っています。

最近では広島県など行政が推進するU・Iターン転職促進の動きともリンクする場面が増え、これまでにないダイナミックな取り組みが始まっています。私自身の出身地でもある広島の活性化の一翼を担えるとすれば、こんなに嬉しいことはありません。

編集後記

コンサルタント
植田 将嗣

山本社長のお話は、IT業界やシステム・アプリケーション開発のトレンドに明るくない私にも非常にわかりやすく、市場ニーズを俯瞰する力と明快なビジョンをお持ちなのだと感じました。

それを特に感じたのはドリーム・アーツの開発方針のお話です。今やどんな業界のどんな規模の企業も、システム開発に対する悩みは尽きません。そういったユーザーの課題もしっかり把握されており、その解決に向けて創業当初から変わらぬスタンスで挑んでおられるとのこと。

また、シャープな印象がある一方で、故郷に対する熱い思いにも触れさせていただき、これからもどんどん広島を盛り上げていただきたいという思いを新たにしました。

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