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創業108年の業務用食品メーカー。保存・調味技術を武器に市場を開拓。

堂本食品株式会社
専務取締役 堂本 英伸

更新日:2022年4月06日

1978年9月  広島県生まれ
2001年3月  慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、アメリカ留学
2004年4月  味の素株式会社入社、営業として量販担当
2008年6月  味の素株式会社退職
2008年7月  堂本食品株式会社入社
2010年4月  経営戦略室、営業
2015年4月  開発本部長
2016年11月 取締役 開発本部長
2021年10月 専務取締役
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

良き伝統を守りつつ、チャレンジを忘れない。

堂本 英伸 | 専務取締役

当社は広島に本社を置く創業108年の業務用食品メーカーです。創業当時は佃煮や漬物の製造・販売からスタートし、現在では和惣菜を中心に約600種類の商品を製造・販売しています。永年培ってきた保存技術や保存性のノウハウ、独自の調味技術を強みとし、一手間加えることでおいしい一品ができあがるところが当社商品の大きな特徴です。

ほとんどの方は当社の社名をご存じではないと思いますが、スーパーやコンビニのお弁当やおにぎりの具材、ホテルのバイキング、飲食店、学校給食、病院食など、様々なところで当社商品が使われており、口にされたことがある方もたくさんいらっしゃると思います。100年以上歴史のある会社ですので、“古い会社”とか“お堅い会社”と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、30年前から海外に進出し、タイ工場での製造や現地のデパートで「和風堂本屋」というブランドで商品を販売しているという一面もあります。

また、皮むき甘栗を商品化して発売したのも実は当社が元祖です。大ヒットしたことで大手食品メーカーが参入し、シェアを奪われてしまいましたが(苦笑)。培ってきた良き伝統を守りつつ、新しいことにも積極的にチャレンジするのが当社の社風です。

コロナ禍でも順調な「思いやり堂本便」。

<堂本英伸氏>一般的に食品業界は「安定している」というイメージをお持ちの方が多いように思いますが、ご承知の通り日本は少子高齢化で総人口の減少が続いている国ですので、一概にそうとは言えません。

業務用食品はスーパーやコンビニで売られている一般市販商品と比べると浮き沈みは小さいため確かに安定感はありますが、それでもさすがに今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による行動制限の影響は非常に大きいものでした。当社の商品を使って頂くホテルや飲食店が休業や時短営業をされるので無理もありません。状況が落ち着いてくれば回復してくると思いますが、消費行動や意識の変化もありコロナ前に戻るかはわかりません。

そんな中、順調に成長しているのが、噛む力が弱くなったシニア世代向けのお惣菜シリーズ「思いやり堂本便」です。一日でも長く口から食べて頂けるよう、素材の形をそのまま残しながら軟らかく、おいしさ、見た目のきれいさ、保存性などにこだわった商品です。今から10年ほど前にブランド化し、現在では50種近くまでアイテム数も増えています。病院や介護老人保健施設などで提供され、シニア世代の方々を中心に好評を頂いています。

また、総人口の減少はイコール労働人口の減少であり、当然のことながら病院や介護老人保健施設、食事を提供する事業者など多くの業界で人手不足となっています。そこで、調理の手間がいらず、そのままでもおいしく、一手間加えるだけで更においしくなる当社の商品が現場のニーズとも合致し成長に繋がっています。

ほとんどのことは失敗する。それが当たり前。

堂本 健壮 | 常務取締役

この時代や環境でこれだけ伸びる商品はなかなかないので素直にすごいことだと思います。当社にとっては間違いなく最注力分野です。でも、正直なことを言うと、狙ってここまでできたかと言うとそうではなく、巡りあわせと言いますか、ラッキーの連続だったと思いますね。

もちろん少子高齢化なので市場があることや、自社に商品化できるだけの技術やノウハウがあること、メンバーが一丸となって頑張ってきた結果ではあります。それでも、わかっていてもやれるかどうか、成功するかどうかは全く別で、やっていく中でいろいろな巡りあわせがあって今に繋がっているなと思います。

その意味では、チャレンジしてもほとんどのことは失敗するものですし、だからこそ失敗を恐れずどんどん新しいことにチャレンジすることが重要だと思うんです。

思いやり堂本便にしても、いつまでも成長し続けられるわけではありません。2040年頃になれば高齢者人口も減少に転じると言われています。時代や環境がどんどん変わり、想定外のことも起こりますが、意志を持って新しいことに積極的にチャレンジすることで会社も個人も成長を続けられるのだと思っています。

芯がある人、こだわりがある人には面白い環境。

<堂本健壮氏>新しいことにチャレンジしたいという方にとって当社は面白い会社だと思います。例えば開発の仕事で言っても、キッチンで試作を繰り返すということだけではなく、原料の調達先開拓まで開発の担当者がやっています。何か興味がある新しい原料を見つけて、自分で海外に行って調達先を開拓するなんてこともできます。興味や好奇心があれば、結構自分のやりたいようにできる会社ですよ。

実際に当社で活躍されている人は好奇心旺盛で、いい意味でこだわりが強いというか芯がある人が多いと思います。そのこだわりがよくわからないことも多々あるのですが(笑)、でもしっかりと自分の考えを持っているのは素晴らしいことだと思うんです。何も考えてなく指示待ちの人よりも、自分で考えてこだわりを持ってチャレンジできる人の方が良いですし、そういう人が当社には合っています。

やれる人にどんどんお任せしたい。

<堂本英伸氏>私も常務も他の会社で勤務して堂本食品に入社しました。新卒には新卒の良さがありますが、中途入社の良さは“他を知っている”ということです。ですから、中途で入られる人には違う考えややり方をどんどんぶつけてもらって、新しいものを生み出すキッカケを作ってもらいたいですね。社歴関係なく、やりたいことがある人は強く訴えてもらえれば、「どうぞどうぞ」という感じです。

会社としては、海外展開であったり、原料の生産であったり、やっていきたいことはたくさんありますが、ノウハウがなかったり手が回らなかったりで、やれる人がいればどんどんお任せしたいと思っています。地方でも面白いことができる時代ですし、無限の可能性があると思っていますので、ぜひ一緒におもしろいことをやっていきましょう!

編集後記

チーフコンサルタント
瀬川 泰明

“つよく、やさしく、おもしろく”これは堂本食品の企業理念です。少々変わった企業理念ですが、堂本専務と常務の話を伺っていると、この企業理念がとてもしっくりときます。

創業から108年、おいしさと保存技術などの品質管理能力を高い次元で両立させることで、『思いやり堂本便』だけではなく、数多くのロングセラー商品を生み出しています。その歴史と伝統の重み、そしてそこに裏付けされた堂本食品の強さを感じました。

その強さがあるからこそ、思いやりや包み込むようなやさしさがあり、強さがあるからこそおもしろさを忘れないでいられる。またそこから他とは一味違うこだわりの商品が生み出される。堂本専務と常務のもと、歴史と伝統を守りつつも新しく展開していくであろう堂本食品の今後がとても楽しみになるインタビューでした。

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