転職成功者インタビュー

株式会社広島マツダ
柴康之さん(仮名・新規事業企画) 34歳

ふるさとにも、自分の人生にも、カタチとして残る仕事をするために。

広島・原爆ドームの目の前で建設計画が進む複合ビル「おりづるタワー」。その開発に奔走している柴康之さんが、今回のリージョナルヒーローだ。

東京ではアパレル企業の店長や総務として活躍していたが、子どもの誕生を機に、Uターンを決意。34歳で広島への転職に成功した。だが、そこまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。

「家族も仕事も大事。ただ帰るだけでは満足できない。自分が本当にやりたいと思える仕事をしたい」。そう意気込んで仕事を探したものの、なかなか決まらなかったのだ。

「人生で一番大変だった」というほど、悩むこと数ヶ月。たまたま広島に帰省したときに足を運んだリージョナルキャリア広島で紹介されたのが、今の会社だった。

「想像していた以上にやりがいのある仕事と出会えました。動き続けていれば、こういう出会いがあるんですね」と感慨深げに自らの歩みを振り返ってくれた。

(※本記事の内容は、2014年11月取材時点の情報に基づき構成しています)

過去の
転職回数
0回
活動期間
エントリーから内定まで43日間

転職前

業種
小売業(アパレル)
職種
店長→総務
業務内容
メンズブランド、メンズ・レディース複合ブランドの店長職、本社で総務業務。

転職後

業種
小売業(自動車)
職種
総務
業務内容
新規事業プロジェクトの進行。

帰省した年末年始。両親の笑顔で、地元へのUターンを決断。

現在のお仕事はどんな内容ですか。

自動車販売会社の総務人事部で働いています。私の役割は大きく2つあり、1つは総務業務。もう1つは、2016年のオープンを目指している「おりづるタワー」に関する仕事です。

原爆ドームの隣にある自社ビルを改修して、物産館や展望台を備えた半商業施設にする予定です。私は、施工業者との打ち合わせや内部の企画などに携わっています。建設が進めば、テナントの募集や営業活動などにも取り組んでいく予定です。

入社前のご経歴を教えてください。

広島の大学を卒業後、ヤングカジュアルをターゲットにしたアパレル企業に就職しました。広島の店舗で働いた後、福岡と東京で店長を経験。その後、30歳のときに東京本社の総務に異動しました。株式関係の事務やBCP(事業継続計画)の策定、管財業務などに携わっていました。

転職のきっかけは?

32歳の時に子どもを授かり、両親がすごく喜んでくれました。その時に「こういう時間をもっと作りたいな」と思ったのがきっかけです。妻も広島出身です。年末年始に一緒に広島に帰ったあと、「家族を大事にするのが、私たちにとっては人生の大きな価値なのではないか」と話し合いました。話し合いの結果、「広島に帰ろう!」と決めました。

転職活動はどのように進めましたか?

転職活動では、まず自分のやりたいことを探すところから始めました。最初はインターネットや本で調べていましたが、やりたいことは見つかりませんでした。

そのうちに「答えは自分の中にある」ということに気がつき、自分がどのような人生を送りたいのか、何がやりたいのか、をじっくり考えました。結果として、私は「自分にしか提案できない価値を、直接人に届け、喜んでもらえる仕事にチャレンジしたい」ということが分かりました。

起業も考えましたが現実的に難しいと考え、大手の転職サイトで希望に合う仕事を探し始めました。オファーメールは複数届きましたが、入社したいと思える会社の求人はありませんでした。

そんな状態で、リージョナルキャリア広島が主催していた東京での転職相談会に参加しました。しかし、その後も転職活動はうまくいきませんでした。ただ帰るだけでなく、「自分が本当にやりたい仕事がしたい!」という思いが強かったからかもしれません。

仕事が決まらず、月日だけが過ぎていきました。この時期が人生で一番つらかったです。そこで、お盆に広島へ帰省した際に、リージョナルキャリア広島のオフィスに足を運んでみました。そのときに2つの会社を紹介していただき、そのうちの1社が現在勤務している会社でした。

今の会社に決めたポイントは?

募集職種が、前職と同じ総務でした。しかも「おりづるタワー」のメンバーを探しているというところに、大きな魅力を感じました。やりたいことを、自分が思っていた以上の規模で実現できるかもしれないと思いました。

この新しいプロジェクトをやり遂げることができれば、自分の人生にも、カタチとして残るものになるはずだと思いました。そのため「トライしたい!」という思いが強くなりました。

また、元々広島を良くしたい、貢献したいという気持ちもありました。このビルは原爆ドームの目の前にあり、平和公園を一望できます。世界中の観光客にも楽しんでもらえる場所になるはずだと感じました。

まさに、広島の活性化にダイレクトに関われるプロジェクトです。「このプロジェクトに、自分の力を活かせないだろうか」と考えました。前職で新しい業態の店を立ち上げた経験があったので、その経験も活かすことができるのではないかとも感じていました。

若い頃は「田舎」と思っていた地元の良さを、あらためて実感。

転職していかがですか?

非常にやりがいを感じています。まだ企画段階のため、すべてが自分の力次第です。今やっていることが、いずれ世界中の人に届けうるものになると想像しながら働いています。

しかし、仕事の内容は初めて経験することばかりでした。前職では、建築の専門家や施工業者とやりとりをすることはありませんでした。専門用語がわからないため、最初は会話についていくので精一杯でした。

それでも、打ち合わせに同席させてもらいながら勉強を重ね、最近ようやく、オフィスフロア部分のディスカッションなど、自分にできるところを少しずつ担当させていただけるようになりました。

開発の仕事は、0を1にするような仕事の連続です。待っていても、仕事が降りてくることはありません。常に自分が能動的に動き、仕事を見つけていかなくてはなりません。しかし、それは自分も望むところでした。誰かに言われてやるだけでは、入社した意味がないと考えています。

転職して良かったと思うことは?

家族のそばにいる時間が増えたことです。やりたい仕事に携わり、日々新しい仕事にチャレンジできていることもよかったです。広島も、改めて住みやすい街だと思いました。大学生の頃は「田舎だな」と思っていました(笑)。

広島は自然も多く、子育てがしやすいです。両親が家に来てくれることも多くなり、妻も助かっているようです。本来、子育ては家族全員でやるものだと改めて実感しています。子どもは2歳になりましたが、日に日に明るくなっています。私たちが毎日楽しそうなので、変化を感じ取っているのかもしれません。

困っていることや課題はありますか?

前職は、「今ある仕事をどうこなしていくか」だけでしたが、現在は誰かに指示をされてやる仕事ではないので、自分でしっかり管理をしなくてはなりません。そこが自分の課題です。

もう1つの課題は、「今後自分にどのような投資をしていくか」ということです。それをやっていかないと、帰ってきた意味がないと思っています。

生活面の変化はありましたか?

広島市から電車で15分程の場所に住んでいますが、帰宅時間は東京で働いていた時よりも早くなりました。東京では毎日片道1時間、満員電車を乗り継いで通勤していました。

現在は、以前よりも早く帰宅できるようになり、自分に投資をすることもできています。具体的には本を読むなど、将来にむけた準備を少しずつ始めています。

週末は家族とアウトドアや、両親に子どもを会わせるために実家に遊びに行くなどして楽しんでいます。しかし、両親にはもっと子どもに会わせてあげたいです。子どもに会うたびにすごく喜んでくれています。今年の夏は、近くの川岸で両家を集めてバーベキューをしました。本当に楽しかったです。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

まずは動いてみることだと思います。やりたいことを探すため、読書や人の話を聞くなど、普段と違う行動をできる範囲でやってみてはどうでしょうか。そうしていると、知りたい情報が入り、自分も変わってくるものです。あまり先のことは見すぎない方がいいですね。動けなくなりますから。

仕事がなかなか決まらなかった期間は、人生で一番つらかったです。しかし、状況がいきなり動くわけではありません。自分のできることを少しずつ積み重ねていくと、状況も少しずつ変わっていくのだと思います。

今やっているビル開発の仕事は、どの転職サイトを探しても見つかりませんでした。しかし、出会いはあるものです。たまたま私がリージョナルキャリア広島に行ったタイミングで、このビル開発の話が担当コンサルタントのところに来たようです。そんな出会いを導くためにも、準備を続けていくことが大事なのかなと思います。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
植田 将嗣

はじめは別のキャリアコンサルタントが担当させていただいておりましたが、ご希望にマッチする求人案件を私が担当していましたので、私が再度お会いさせていただくことになりました。

将来の夢をお聞きし、その夢に近づきながらさまざまな経験を積んでいける企業はそう多くありませんでした。直接お会いしての面談以外に、何度もお電話でお話しました。

結果、ご自身も1社に絞って受験する覚悟を決められ、最終面接の際には新規事業の企画書をご持参されました。これには企業経営者も私も感激しました。ご自身の思いの強さと努力の結果、もっとも納得ができるマッチングになったのではないでしょうか。

ご入社され数ヶ月してお話をお聞きしたとき、「将来の夢はお変わりないですか」とお聞きすると、「いえ、今の仕事に夢中で忘れていました」とのことでした。

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