地域情報ブログ

その他2021.06.25

U・Iターンを配偶者や家族から反対されてしまう人の3つの特徴

リージョナルキャリア広島の原田です。今週日曜日は久しぶりのマツダスタジアムでカープ観戦!ここのところ苦しい試合が続くだけに、何とか勝利を見届けたいところです(そして下り坂予報の天気も何とかもってほしい)。

さて今日は、U・Iターンの相談でよく見られる「配偶者や家族の反対」について考えてみたいと思います。「いつかは地元に帰りたい」そんな思いを持ち、"いよいよ"と動き出したところ、反対を受けてしまい身動きが取れなくなってしまった・・・特に、男性の場合は奥さんから反対される通称「嫁ブロック」から、なかなかアクションを起こせないという方も少なくありません。

※「嫁ブロック」はあまり褒められた言い方ではありませんが、かなり一般に認知されているようで、「嫁ブロックをくらってまして・・・」と相談者の口から出ることもよくあります。

今回はAさんのケースを例に、反対を受けてしまう人の3つの特徴を見ていきたいと思います。

夫婦喧嘩.jpg




神奈川から広島にUターン希望のAさん


Aさん.jpg(Aさん)36歳、広島出身。神奈川在住。中堅SIerに勤めるシステムエンジニア。4歳の息子がおり、地元でのびのび育てたいという思いからUターンを希望。結婚の際、将来広島で暮らすことについて妻に話したことがあり、「いつか、そのときがくればね」と言われたことがある。


Aさん妻.jpg(妻)33歳、埼玉出身。商社に勤めていたが、息子の出産を機に退職。現在は専業主婦。最近、趣味の合うママ友ができた。現在の暮らしには満足している。



特徴①突然話を切り出す


かねてから「育児は地元でのびのびと」という思いを持っていたAさん。日々成長する息子を見る中で、そろそろ、と考えるようになります。ただ、Uターンするといっても、うまく転職先が見つからなければ妻にも伝えられないと考えたAさんは転職活動を開始。広島の某メーカーの面接を受け、社内SEのポジションで内々定を獲得。意気揚々と自宅へ帰り、「実は広島に帰りたいなと思ってて、ぜひ来てほしいと言ってくれる会社を見つけてきたんだ」と妻に話したところ、「急に何なの?そんなの聞いてないけど?」と妻はポカン。「私は広島に行きたくない」と応戦モードになってしまいました。


ポイント
Aさんとしては奥さんに余計な心配をさせまいと、先に転職先を見つけようと動いたのですが、それがかえって「一人で勝手なことをしている」と奥さんに思わせてしまいました。また、結婚の際に一度「いつかは広島へ」と伝えていたものの、それ以来、具体的な話し合いはしておらず、Aさんが「妻も賛成してくれるだろう」と思い込んでいたことが"しくじり"ポイントその1です。
具体的に「いつ」ということまでは決まらずとも、Uターンしたいという気持ちは少なくとも複数回伝え、その時々の奥さんの反応を見ながら、懸念を払拭できるような布石を打っておくべきでした。

意外かもしれませんが、配偶者と何も相談せぬまま、Uターン転職活動を行っている人は少なくありません。うまく転職できるかについては動き出してみないと何とも言えないという側面があるかもしれませんが、少なくともUターンすることについては事前に話し合い、ある程度の合意形成をしておくことをお勧めします。



特徴②自分の仕事について詳しく話していない


思わぬ"ファイティングポーズ"を取られてしまい、慌てたAさん。今度は、いかに良い転職先を見つけてきたかをアピールしようとします。「年収は少しだけ下がるんだけど、広島だと名の知れたメーカーだし、転勤もない。DXって聞いたことあるよね?それに力を入れようとしてて、今と違ってシステムの上流に携われるし、経験も十分活かせるんだ」と熱弁しますが、奥さんは冷ややかな反応。「でも給料下がるんでしょ?」と言われ、返す言葉を失ってしまいました。


ポイント
Aさんが言うように、転職先としては決して悪い話ではありませんでした。実はAさん、客先常駐型のSEとして勤務しており、案件によって勤務先が変わってしまう現状に不満を持っていました。その点、メーカー本社であれば腰を据えて働くことができます。また、現在の会社はいわゆる「下請けSIer」。案件の上流には携わることができず、SEとしてキャリアアップが狙いづらい環境に悶々としていました。DXの上流に携わることができれば、スキルアップできる、ひいては、年収も上げていけるかもしれないという見立てがあったのです。しかし、これまで奥さんにそういった状況や思いを伝えたことはありませんでした。

結果的に奥さんには「年収を下げてまで何で戻らないといけないの?」という部分だけ残ってしまいました。現在専業主婦の奥さんにとってはお金に対してシビアになるのは当然です。自分はどんな仕事をしていて、どんなスキルがあるのか。この先にはどんなキャリアをイメージしていて、そのときの給与はどれぐらいになる見通しなのか。こういった「キャリア観」をしっかり奥さんにも共有しておくべきでした。



特徴③育児や教育、生活のシミュレーションができていない


いよいよ追い込まれたAさん。そもそも自分がなぜUターンしたいかということを切に訴えます。「息子はのびのび育ててやりたい。君だってそう言ってたじゃないか。広島は自然もあるし、とてもいい環境だよ」「もちろん私だってのびのび育てたいけど、教育はしっかりしたいから、お受験はさせるつもりよ」「えっ、そうなの?」妻の考えを初めて聞くAさん。「それに私、広島は何度か行ったこともあるし嫌いじゃないけど、生活したことはないんだから、うまくやっていけるか分からないじゃない」そう言われ、完全に思考回路が停止してしまうAさんでした。


ポイント
息子さんはまだ4歳。小学校に上がるのもまだ先の話と考えていたAさんでしたが、関東圏で暮らしてきた奥さんにとっては、お受験は"当たり前"の感覚。すでに先を見据えていました。広島出身のAさんにとっては多くが公立校に通わせ、進学校も少なくないことから、「広島でもしっかり教育していける」という思いがありましたが、奥さんは知る由もありません。ここでもズレが生じていました。

また、奥さんは広島で(もっと言えば地方で)生活したことがなく、広島には友人もいません。Aさんが働いている間、見知らぬ土地で息子と2人きり、という状況に奥さんがどれだけ不安を感じるか、Aさんはケアできていませんでした。「生活していく」という観点で一緒に広島で過ごしてみたり、あらかじめ広島に奥さんの友人をつくるといったような下準備を奥さんと一緒に行っておくべきでした。
「自分がちゃんと転職して、しっかり家族を養っていける収入があれば大丈夫だろう」と、自分本位で事を進めてしまったAさんの大きな"しくじり"です。



まとめ


「急に言われても」「あなたの仕事のことよく知らないし」「私の生活はどうなるのよ」奥さんの言うことは、"ごもっとも"です。では、Aさんはどうすればよかったのでしょうか。もう火を見るより明らかですね。今回の失敗の原因は、圧倒的にコミュニケーションが不足していたことです。「奥さんも子どももいて、普通いろいろ相談したりするんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれませんが、意外とそうでもないのです(私たちもビックリするほどに・・・)。

Aさんの場合は"失敗例"として少し極端な例を挙げましたが、ある程度コミュニケーションを重ねて合意形成できているケースを見ても、その過程で、初めて知る相手の考えや価値観が出てきたとおっしゃる方がほとんどです。U・Iターンを考えるにあたって、妻や夫と真正面から向き合って、より互いを理解できた、家族の絆が強くなったと振り返る方も少なくありません。

配偶者や家族から反対される人は、往々にして、独りよがりな意思決定をしようとしていることが多いです。「夫婦として」、「家族として」一歩を踏み出す決断ができるように、しっかりとコミュニケーションを重ねることが大切です。

この記事を書いた人

チーフコンサルタント 
原田 昌和

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