2022.02.17
【Q&A】転職面接で聞かれる「希望年収」はどうやって決めておくべき?
転職時の提示年収を構成する要素
まず、求人票などにはあらかじめ想定年収が記載されていますが、「そう書かれているから、それぐらいの年収を希望する」という希望の仕方は通用しません。言うまでもなく、企業は「その年収を希望している人を採用したい」訳ではなく、「その年収に値する人を採用したい」からです。いくら希望に近いからといって、あまりにも現在の年収を大きく上回る求人や、明らかに採用要件に満たないと思われる求人に応募しても、選考が進む可能性は極めて低いということを認識しておきましょう。
それから、よく「キャリアアップのために転職する」という方がいますが、「キャリアアップ=年収アップ」と直結して考えるのは危険です。確かに、キャリアアップすれば年収もアップする可能性はありますが、それはあくまで成果を出した場合の『結果』です。経験値を高め、スキルを高め、キャリアアップした上で成果に繋げられて初めて、年収もアップしてくるのです。成果を出す前から高い年収を希望するのは、『未来(期待値)に対する先行投資』を要求することと同義であると念頭に置きましょう。
また、もう一つ提示年収を構成する要素となるのが、『過去・現在に対する評価』です。「即戦力」とよく言いますが、評価が期待値の担保になるケースです。これらの評価や期待値と年収の相関を示したのが下の図です。
一番左、「これまでと同じ業界で、同じ職種の仕事をする」という場合がもっとも評価・期待値が高くなり、提示年収も高くなります。そこから、「これまでと同じ業界で、違う職種の仕事をする」「違う業界で、同じ職種の仕事をする」、「業界も職種も変える(キャリアチェンジ)」と右に向かうにつれて提示年収は目減りしていく可能性が高いと考えると良いでしょう。
まずは自分が目指す転職がマトリクスのどこに位置するか確認し、希望年収を得ることの難易度をつかんでおきましょう。
希望年収の「根拠」を持つ
希望年収を決めていく上では、現在の年収が適正なのか、あるいは高いのか、低いのか、正しく測りましょう。測る上で鍵となるのは、様々な『相場』と自分の『市場価値』を知ることです。
-相場
分かりやすいところだと年齢や性別、それから業種や職種、地域などによって、年収相場は様々です。あるいは、企業ごとによっても相場は異なります。
それから、生活コストという面でも、例えば東京と広島とでは、相場は大きく異なりますよね。住まい、通勤、育児などにかかるコストシミュレーションを行う上で相場を知ることはやはり重要です。U・Iターン後にどれぐらいの生活水準を望むのか、そのためにはどれぐらいの可処分所得が必要なのか。また、先々のライフプランを踏まえて、どれぐらいの収入を得ていく必要があるのか。そのあたりも情報収集とシミュレーションを繰り返し、ある程度の基準を持ちましょう。
当たり前のように感じるかもしれませんが、そういった相場を知らぬまま、イメージや主観で、あるいは"東京感覚"でそろばんを弾いている方も少なくありません・・・。
-市場価値
相場をつかんだら、その中での自身の市場価値を測ってみましょう。現在の会社の中での価値ではなく、他社から見たとき、あるいは他のビジネスパーソンと比較したときの価値を客観的に分析することが重要です。以下のようなポイントでチェックしていきましょう。
・その能力やスキルによってどんな成果、実績を残してきたか
・その能力やスキルは専門性が高いか、あるいは汎用性が高いか
・経験やスキルにもとづいて、他社でも同様の成果が出せるか(再現性)
-相場×市場価値=適正年収
相場をつかみ、市場価値を測ったら、それを掛け合わせて「適正年収」を導き出していきます。その結果、適正年収に対して現在の年収が低いのであれば、適正に近づける=年収アップを望めるかもしれませんし、逆に適正よりも高ければ、希望年収を下げなければ現実的ではないかもしれません。
そのようにして根拠を持って希望年収を決め、その上で希望年収にマッチする求人にアプローチしていくと、企業との摺合せや交渉もスムーズに進められると思います。
◆相場を正しく知るべし
◆自身の「評価」と「期待値」=市場価値を客観的に分析するべし