2022.03.24
クリエイティブ系以外でも転職活動に役立つ!「ポートフォリオ」作成のススメ
リージョナルキャリア広島のコンサルタント、原田です。先日、転職希望者のエンジニア、Aさんからこんなご相談を頂きました。
『職務経歴書の作成に苦戦している。何かうまく伝えられるコツはないか』と-。
Aさんは機械加工工場での作業を自動化する装置の開発エンジニア。これまでいくつもの装置を手掛けており、それぞれ課題も違えば、装置の種類や規模、工夫点なども違うため、すべてを漏れなく記載すると文量がかなり増えてしまうとのことでした。また、すべて記載しても、読み手(企業)に正しく伝わらないのではないかとお困りでした。
そこで私は、『ポートフォリオの作成』をご提案しました。
文字情報をビジュアルで伝える
ポートフォリオはデザイナーなどクリエイティブ系の転職時によく用いられる「作品集」。これまでの制作実績や自身のスキルを視覚的にアピールするためのツールです。
Aさんはクリエイターではありませんが、自身が手掛けた装置がどんなものかを視覚的に伝えたり、その開発のプロセスをプレゼンテーション資料のようにまとめると、効果的に伝えられるのではと感じました。
そこでAさんに作成を提案してみると、現職では社内で定期的に改善発表の場があり、その際に毎回プレゼンテーション資料を作成しているため、すべて手元に残してあるとのことでした。オンライン面談でしたので、画面共有してもらい資料を拝見すると、写真を交えて以下のプロセスとポイントが綺麗にまとめられていました。
現状の課題・開発の目的 → 具体的な改善点 → 改善後の効果・さらなる課題 → 経験から得たもの・それを今後どのように活かしたいか
正直に言えば、デザインなどのビジュアル面ではまだまだ改善の余地が感じられましたが、実績を示すうえで、一連のプロセスとアピールポイントがまとまっているという点では、ポートフォリオとして十分成立する内容でした。「Aさん、これ、このまま使えますよ」ということで、転職活動用に別途仕上げてもらうことになりました。
さらにAさんは装置が実際に稼働する様子を動画にも収めていました。面談の際、事前に職務経歴書を読み込んだ上で詳細をヒアリングさせて頂いたのですが、「はじめからこのスライドと動画を拝見すれば一発で分かりましたね」と互いに笑い合うこととなったのです。
そんなふうに、文章や言葉ではなかなか伝わりにくいことでも、ビジュアルを用いればスムーズに伝わることはよくあります。ポートフォリオと聞くと身構えてしまうかもしれませんが、"パワポのスライド"をイメージすれば、案外、とっつきやすいのではないでしょうか。
ちなみに、Aさんの場合は開発の主担当ですので、すべて一気通貫で手掛けていましたが、もしチームで手掛けた仕事や大きなプロジェクトの一員としての仕事だった場合、全体像を示しながら、その中での自身の担当領域を抽出して整理していけば、役割や仕事のレベル感を正しく示すことができます。
どの職種でも求められる「伝える」技術
私もこのブログを書いたり、転職希望者の方と面談したり、企業の人事担当者と商談したりと、様々な場面で「人に伝える」ということをしますが、いつもその難しさを痛感しています。
どんな仕事であれ、コミュニケーションスキルは必ず求められますし、テレワークが浸透する昨今では、ドキュメンテーションのスキルもますます求められているように感じます。
オンラインやメール・チャットによる口頭・文字でのコミュニケーションを資料で補足したり、業務を効率的に進めるためにマニュアルや社内Wikiを作成したりと、スキルを発揮する場面は少なくないでしょう。それは転職活動においても例外ではありません。
ポートフォリオを作成するには、きちんと自分の仕事や実績を振り返る必要があります。要点、つまり「特に伝えたいこと」を考えるプロセスでは、自分の強みをしっかり認識することにも繋がります。そして作成するうえでのセンスやツールを使いこなす力は、昨今のビジネスパーソンにとっては大きな武器にもなり得ます。
"パワポ芸人"ことトヨマネさんが今ウケているのも、そうした背景があるのかもしれませんね。
ポートフォリオの作成・共有にはツールを活用しよう
そんなポートフォリオですが、作成したり、共有する際には、ぜひツールを活用しましょう。オススメは"王道"のPowerPointやGoogleスライドです。PowerPointは使用経験がある方も多いことでしょう。また、Googleスライドはパワポのスライドを簡単にインポートしたり、作成後は簡単に共有リンクを取得できます。リンクのURLを職務経歴書に記載しておけば、複数のファイルや容量の大きいファイルをやり取りせず、職務経歴書内の流れに沿って見せることができるため、とても便利です。
先述のAさんの場合、以下のように作成・共有して頂きました。
▶(スライド)作成済みのパワポをGoogleスライドにインポート → 体裁を整えて仕上げ → 共有リンクを取得 → リンクURLを職務経歴書に記載
▶(動画)Googleドライブにアップロード → 共有リンクを取得 → リンクURLを職務経歴書に記載
また、最近ではNotionを活用し、"ポートフォリオサイト"を作成する方も増えています。こちらも自由に作成し、簡単にリンクで共有することができます。少しデザインスキルやITリテラシーが必要になりますが、うまく使いこなせれば企業へのアピールポイントになるかもしれません。
ポートフォリオ作成時の注意点
最後に注意点を一つ。これは職務経歴書を作成する際にも言えることですが、守秘義務がある情報、機密性が高い情報を取り扱う際には十分注意しましょう。
転職活動をしていることを社内でオープンにし、職務経歴書やポートフォリオで示す情報について許諾を取っていれば問題ありませんが、多くの方はそうではないと思います。せっかく自分をアピールするために用意したものによって、現職との間でトラブルが生じたり、応募先企業から"機密情報を簡単に漏らす人"と不信感を抱かれることになりかねませんので、くれぐれもご注意ください。
もし、「この内容は記載しても問題ないか」「面接で話しても大丈夫か」と気になることがあれば、個別にご相談ください。