2022.07.02
「決め手は2000本という言葉」秋山翔吾のカープ入団に見る交渉の在り方
リージョナルキャリア広島のコンサルタント、原田です。最近の広島のトピックスといえばこれ一択でしょう!
秋山翔吾、カープ入団!!
本命・西武、対抗・ホークスと言われる中で、大穴・カープに入団してくれるなんて、、泣かせてくれるじゃありませんか!
あらためて、ようこそカープへ!!
(画像出典:週刊ベースボールONLINE)
いろんなところで報じられていますが、古巣の西部は早くから彼にコンタクトを取り、交渉を行っていたそうです。同じ頃に行われた西武ホールディングスの株主総会では「何としても秋山を獲得して欲しい」という要望が株主から出たとか(笑)
そこに待ったをかけたのはホークス。2年契約を提示した(とされる)西武に対して、3年契約を提示。また、球界随一の資金力を持つだけに、年俸も厚遇が提示されたと言われています。
そして我らがカープはと言えば、言うまでもなく圧倒的不利(笑)。それでも秋山選手本人をして言わしめたのは、『カープの「熱意」や「言葉」が決め手になった』というものでした。
交渉を担当した鈴木本部長(カープファンにはお馴染みですね)とのやり取りを経て、秋山選手が残した言葉が、今回の交渉のポイントを表しています。
"鈴木さんからの"来てもらえればカープの大きな財産になる"という言葉は響きました。それと"2000安打まで、あと五百何本だったよね"と言って頂いた。自分が2000本への思いを持っていることをフロントの方が認識してくれていたのが、ありがたかったし、うれしかった"
(引用:スポニチアネックス)
つまり、秋山選手自身が『大切にしたいこと』を、鈴木本部長はしっかりと理解し、受け止めていたのです。その上で、彼に対する評価や期待を、"掛け値なし"に伝えたことで、彼の心を動かしたのです。(それと、入団の一報を受けた際に「えっ?まじ?」と驚いちゃうような鈴木本部長のお人柄も良く働いたのかもしれません(笑))
さらに、入団会見の際に秋山選手は『松田オーナーからも、「ボロボロになっても2000本を打ってくれ」と言われた』と語っています。秋山選手からすれば、"それほどまでに自分の思いをバックアップしようとしてくれているんだ"と、大きな安心感があったことでしょう。
いやはや、鈴木本部長も松田オーナーも素敵すぎます。あっぱれ!(©張本勲氏)です。
私はキャリアコンサルタントという職業柄、この一連の交渉を「人材採用を行う企業と転職希望者」の関係に見て取りました。
採用面接の際、「こういうポジションを任せたい」「これだけの報酬を払う」という条件提示はもちろん大切ですが、企業側がそもそも、応募者が「転職することで何を実現したいのか」「転職先に(報酬など最低限の条件以外に)何を望むのか」「キャリア(あるいは人生)において何を大切にしているのか」ということを分かった上で交渉につかなければ、なかなか互いに納得のいく握手をするのは難しいものです。
それから、「ぜひうちに来てほしい!」という熱意。「誠意は言葉ではなく金額」というかつての福留孝介選手の言葉を思い出す方もいるかもしれませんが(笑)、実際、秋山選手のように「熱意を感じられたことが入社の決め手になった」「思いのこもったあの一言が刺さった」と振り返る転職者は少なくありません。特に、採用責任者や経営トップから直々にアツい言葉をもらえると、やっぱり嬉しいものですよね。
「熱意を持って真摯に相手と向き合う」「相手の思いや大切にしたいことをしっかりと受け止める」「こちらの思いはきちんと言葉で相手に伝える」-
キャリアコンサルタントとしてはもちろん、人とコミュニケーションを取る上で、あらためて大切にしなければならないことだと感じる機会となりました。