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これからの人づくり、組織づくりが、新たな文化をつくる。

株式会社NTTデータ中国
代表取締役社長 三島 徹

更新日:2022年11月30日

千葉県出身。1995年、成蹊大学理工学部を卒業後、NTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)に入社。モバイルビジネス事業部長などを経て2022年6月より現職。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

国内最大規模のグループ力を活用し、ITで社会インフラを支える。

当社は国内最大規模のSIerとして業界をリードする「NTTデータ」の100%出資会社です。NTTデータグループ各社と連携・技術活用することでシナジーを発揮しながら、中国エリアをメインに様々なシステムやITソリューションを提供しています。

「金融」「公共」「法人」と幅広い分野のお客様へ事業を展開。いずれの分野においてもグループ内で有数の技術力と実績を持ち、ますます多様化・高度化する顧客ニーズに対応しながら人々の生活や企業の発展に貢献しています。

<主な開発実績>
-金融分野
総合バンキングシステム、営業店システム、信用リスク管理システムなど ※地場の金融機関向け案件に加え、首都圏の金融機関向け案件も手掛けています。

-公共分野
自治体向けネットワークシステム、自治体業務効率化システム、防災・減災システム、救急医療情報システム、自治体向け財務会計システム、オンライン資格確認など

-法人分野
自動車産業向けCRMシステム、電力会社向け自動化システム、大手機械メーカー向けIoTシステム、一般法人向けヘルスケアシステム、ローコード商材の提案導入など

2022年6月に社長に就任。自身のキャリア“初”の異動で広島の地へ。

形式張った話はここまでにして、ここからは少しフランクに(笑)。今回は、記事を読んでいただく方に少しでも当社のカルチャーや社内の雰囲気を感じてもらえたらいいなと思っています。ということで、まずは私の自己紹介をさせていただきますね(笑)。

千葉県浦安市の出身で、先日51歳を迎えました。新卒でNTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)に入社して以来、一貫して東京で働いてきました。

携わってきたのはモバイルビジネスに関するSI事業で、PMを長く経験。それから事業部長を経て、2022年6月に現職に就きました。

これまで広島に地縁は無く、キャリアの中で地方で暮らした経験が一度も無かったので、「どんな感じなんだろう?」と思っていましたが、少しずつ街にも慣れて、広島の良さを感じるようになってきたところです。

「エンゲージメント」と「モチベーション」をキーワードにした組織づくり。

私が長く歩んできたモバイルビジネスの世界はとても変化が早く、技術もどんどん進化していきました。そんな環境の中で私たちも常に「新しいことをやっていこう」というマインドを持っていましたし、経営幹部も含めて何が正解かという答えが出せていない中で、「自分たちで考えて答えを見つけていこう」というエネルギーに溢れていたことをよく覚えています。

NTTデータ中国が得意としているのは冒頭でも挙げたように金融・公共・法人という分野ですので、私の歩みとは分野が違うのですが、それでも、私がこれまで養ってきたマインドやエネルギーは、ここでも十分に価値を発揮するものだと思っています。「よし!みんなで一つになって、どんどんチャレンジしていこう!」という雰囲気が醸成されれば、もっともっと、社員一人ひとりが活き活きと働けるようになると信じているからです。

そこで、私が着任してから打ち出したキーワードは2つ、「エンゲージメント」と「モチベーション」です。まずエンゲージメントに関して言うと、一般的に認識されているような「組織と個人の関係」ではなく、「個人と個人の関係」において高めていきたいと考えています。社員同士が互いを「苦楽を共にする仲間」と認識し、チームワークが自然とできるような状態を目指しています。

それからモチベーションに関しては、社員一人ひとりから自発的に湧き上がることを大切にしています。社員が何かをやってみたいと考えたときに、「いいね、やってみようよ」と背中を押してもらえたり、「言いたいことが言える」という自由さや寛容さがあったり。そういった環境の中でこそ、自発的なモチベーションが生まれてくると考えています。

この2つのキーワードを軸に具体的な施策に落とし込み、トライしているところですが、私自身、手応えを感じていますし、社員からも変化の声が聞こえるようになってきています。

これまでの慣習や先入観をトップ自らが壊していく。

例えば、先日、半期のキックオフを実施したんですが、変化を感じられる場面がたくさんありました。キックオフはこのご時世なのでオンラインで実施することに。どうやって盛り上げようかと考える中で、あるツールを使うことにしました。

そのツールというのが、いわゆる動画配信サービスのような形で、映像に対して視聴者がコメントを書き入れると画面上に表示されるというものなんですが、社内でつくっていたので活用することにしました。

当日は私や部長らがいろんな発信をして、それに対してコメントやスタンプで反応してもらいました。ある部長が「今日から役職で呼ぶのは辞めましょう!」と発信したところ、早速「○○さ~ん!」とコメントが並び、役職を超えて社員同士の距離がグッと近付いていくのを感じました。

キックオフの最後には、配信側がカープのユニフォームを着て応援歌を歌い、視聴者のみんなにジェット風船のスタンプを打ち上げてもらう仕掛けをしたんですが、これも大盛り上がり。「さすが広島だな~」と実感しましたが(笑)、これも社員のアイデアなんですよ。

「こんなことを言ってはいけない」「やってはいけない」というネガティブな先入観があるんだとすれば、私を含めた上層部から率先して壊していきたいですし、そうした動きが社内のあちこちで起こるような仕掛けを今後も続けていきたいです。

オンボーディングを強化。「早く結果を出さなきゃ」と、焦らないでほしい。

当社の経営資源の中で、もっとも大切にしているのは、やはり「人」です。既存の社員に対してはもちろん、これから新たに迎え入れる方に対してもしっかりと投資をしていくつもりです。先ほどもお伝えしたように、私が経験してきたインダストリーとNTTデータ中国のインダストリーは異なりますので、私がするべきことは、細かな事業マネジメントというよりも「人づくり」、「組織づくり」、「文化づくり」だと考えています。

「きちんと文化に馴染み、自発的なモチベーションを持つ社員が、互いに強く繋がっている組織」であれば、“業績は後からついてくる”とすら考えています。ですから、経験者採用(中途採用)の場面においても、入社していただく方にまずお伝えしているのは、「焦らないでほしい」ということです。

経験者であっても、当社においては“フレッシュな人財”になるわけですが、どうしても即戦力として結果を出さなければいけないというプレッシャーを感じる方が少なくありません。そのプレッシャーがうまく作用することもあるかもしれませんが、逆に、ストレスになってしまって、パフォーマンスに悪影響を与えてしまうこともあります。ですから、慣れるまで、例えば入社して半年ぐらいの期間は、「結果を出そう出そうと焦らないでほしい」と明確に伝えているんです。「まずは社内でしっかり友達をつくってください」と(笑)。

いわゆるオンボーディング(新しい仲間の順応を促進する取り組み)を推進し、一定の期間をかけて組織にアジャストしてもらいながら、当社におけるキャリアのロードマップを描いてからグッとアクセルを踏んでもらう方が、結果的に大きな成果や業績に繋がりやすいと考えています。

もちろんオンボーディングを進める上では現場への負荷もかかるので、きちんとバランスを取りながらにはなりますが、今後も注力ポイントの一つと捉えています。

多様な仲間とともに、新しい文化をつくり、根付かせたい。

最近では文系出身者の比率も5割近くまで増えてきていますし、異業界から転職してきた方も多く活躍しています。よく「意外だ」と驚かれるんですが、前職が証券会社やMR、薬剤師といった多様な経験を持つ方を迎え入れています。というのも、金融や医療など、当社のインダストリーに関する知識や業務経験がある方は、実務経験が異なっていても、そのバックグラウンドが十分強みになり得るんです。

実務経験がある方はもちろん、未経験の方も含めて多様なバックグラウンドを持つ方が入社してくださることで、新たなビジネスチャンスが生まれることもあります。

これまでには無かったようなお客様との関係づくりから、ふとしたときに新しいご相談をお寄せいただいたり、成果が評判を生んで“口コミ”が広がったり、ということも珍しくありません。ですから、採用の間口は広げています。

当社を含むNTTデータグループに対するイメージとして、「お堅い」といったことをよく言われるんですが、「実際はそうでもないんだけどな~」と思っています(苦笑)。

これからもっと多くの方を迎え入れながら、そんなイメージを払拭できるような文化をともにつくり、根付かせていきたいです。

編集後記

チーフコンサルタント
原田 昌和

時折冗談も交えながら、快くインタビューに応じてくださった三島社長。そのお人柄も相まって、「社内のネガティブな先入観は壊していきたい」「社員一人ひとりから自発的にモチベーションが生まれる組織にしたい」といったお言葉の一つひとつに説得力がありました。

官公庁・自治体や金融機関などを顧客とし、社会インフラに携わる同社に対して、“お堅い”というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。私もその一人でした。しかし今回のインタビューを通してそのイメージは一変。業界未経験から入社して活躍している社員も多いと聞き、一気に親近感が湧きました。

また、「新しい文化をつくる」とおっしゃいながらも、過去や現状を否定するのではなく、これまで同社の文化を築いてきた方々に対する敬意と信頼が感じられたのも印象的でした。

チャレンジングな環境で、チームワークを大切にしながらキャリアを築いてこられた三島社長が、ここ広島で想いをどんなふうに体現されるのか。今後の変化が楽しみになるインタビューでした。

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