ドリームベッド株式会社
杉田正則さん(仮名・経営企画) 46歳
企業会計キャリアを活かせる仕事でワークライフバランスも実現。
他県の上場企業で監査担当役員を務めていた杉田さんは、高齢となった両親の住む広島にUターン転職をした。しかしそこで与えられた仕事は、杉田さんのキャリアに見合うものとは言えず、さらに休日は不規則で連日の長時間勤務という環境だった。第3子の誕生をきっかけに、ワークライフバランスを見直し、本来自分がやりたかった仕事をもう一度探そうと決意する。そして上場を目指す地元企業と出会う。積み上げてきたキャリアを活かせる仕事と、家族との大切な時間をも手にすることができた杉田さんの転職体験談を紹介する。(※本記事の内容は、2018年6月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 転職回数
- 3回
- 転職期間
- エントリーから内定まで107日間
転職前
- 業種
- 専門施設運営
- 職種
- 総務
- 業務内容
- 給与計算、他総務業務全般
転職後
- 業種
- ベッド、リビングソファ、インテリア用品の製造販売
- 職種
- 上場準備室
- 業務内容
- 上場に向け、証券会社・監査法人他との折衝及び社内管理体制の構築推進
積み上げたキャリアを活かし、企業経営の根幹に関わりたい。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
広島市に本社を置くベッド・インテリア用品メーカーの上場準備室に勤務しています。上場準備室は2020年の上場を目指して立ち上げられてから半年あまり。先般も、監査法人や主幹事の証券会社、証券代行の金融機関、印刷会社など上場に絡む関係各社が集まり、キックオフミーティングが行なわれたところです。会社全体の経営体制、財務開示体制、ガバナンスやコンプライアンス、労務管理など、上場に向けて必要な業務の全てに関わるので、仕事内容は多岐にわたります。
入社前のご経歴を教えてください。
広島県尾道市の出身で、岡山県の大学を卒業後、広島県内の住宅造作材の会社に就職しました。職種としては海外営業でしたが、フィリピンや韓国の工場に駐在し、工場の運営全般に関わりました。この会社での韓国駐在経験が私の経理・財務のキャリアの始まりです。本格的な工場経理を経験し、もっと会計スキルを上げたいと思うようになり、会社を辞めてU.S.CPA(米国公認会計士)資格の取得を目指して勉強しました。勉強後、海外営業系の職種を募集していた他県の会社に転職。中国の工場に4年半駐在して財務に携わり、帰国してからは総務・法務の仕事を経験しました。その後、その会社で監査担当役員という立場に。帰国後10年務めたのですが、「尾道に両親もいるし、他県でキャリアを終えるのは難しいな」と考え始め、広島の会社に転職しました。そこから、今回の転職を経て現職に就いています。
転職のきっかけは?
前職は全国規模で専門施設を運営する会社。入社直後は経営企画室への配属でしたが、総務で欠員が出て給与計算のできる人がいなくなったため、総務部へ異動となり、全国従業員の給与計算と総務業務全般を任されました。しかし、それは私が目指していた仕事内容ではありませんでしたし、慢性的に時間外勤務が多かったんです。3人目の子どもが生まれたこともあって、帰れない、休めないという状況をなんとかしなければと思い、入社1年ほどでしたが転職を考えるようになりました。もともと、他県から広島に戻ってきたのも尾道の両親の近くにいようという思いがあったからであって、もう少し適正なワークライフバランスで仕事をしたいと思ったのが転職を考えたきっかけです。
転職活動はどのように進めましたか?
転職を考え始めたのが2016年12月の終わり頃。正月に2日間ほど休みがあったので、そこで転職サイトを見て、何社か転職エージェントに登録しました。転職の条件として考えていたのは、決まった休みがあることと、監査、財務、内部統制など会社経営全体に関わる仕事ができること。内部統制に絡む仕事があるのは上場企業なので、そもそも上場企業の少ない地方で探すのは難しいのですが、正月休みが明けて真っ先に面談のアポイントを取ってくれたのがリージョナルキャリア広島でした。ありがたかったですね。早速担当の方と会って自分の希望や考えを話し、その日のうちに候補の会社を提示していただきました。その中から2社、話を進めている途中で、ドリームベッドの面接のお話をいただいたのです。面接が終わるとそこで、内定を出したいと言っていただきました。
今の会社に決めた理由は?
上場に向けて準備を進めている企業であるということが一番大きかったですね。面接の中でも、必要としていただいていることが伝わってきて、ぜひ一緒に上場を目指して仕事をしたいという気持ちになりました。上場企業で監査の仕事をしてきたキャリアがありますので、貢献できる自信もありました。面接が終わって帰る頃には心は決まっており、他の応募企業は断っていただきました。
望んでいた仕事と、家族との時間。その幸福なバランス。
転職していかがですか?
2017年5月に入社し、財務部に配属。10月に上場準備室が立ち上がり、私は2018年4月に上場準備室に異動となり、本格的に上場業務に携わるようになりました。入社して間もない頃から、原価計算関係のプロジェクトに入って意見を出す機会をもらうなど、自分のこれまでのキャリアを活かせる手応えがありました。望んでいた仕事のイメージにぴったりで、自分に合っているなと感じています。
転職して良かったと思うことは?
生活と仕事のバランスがとれていること。上場に向けて走っている成長性のある会社で、今までのキャリアを十分に活かせる仕事を与えていただいていること。それが一番良かった点です。
困っていることや課題はありますか?
一から作り上げていかなければならない大変さは感じますが、それは苦になるような大変さではなく、作り上げて形にすることのやりがいを感じます。2020年の上場という大きな目標があるので、仕事量は今後増えていくかもしれませんし、責任も重くなって行くかもしれませんが、そこはやりがいにつながるものですから責任を持って完遂したいと思います。
生活面の変化はありましたか?
生活は一変しました。土日はしっかり休むことができ、毎週水曜日はノー残業デーとなっています。家族と一緒に食事ができて子どもと話す時間、遊ぶ時間は劇的に増えました。「今日、学校どうだった?」と聞くと、子どもはとめどなく話してきます。この前、娘が「教科書を読むから聞いて」と、谷川俊太郎の「生きる」という詩を朗読してくれたのです。それは、生きているということは喉が渇くことだ、木漏れ日が眩しいということだ、といった記述で始まるのですが、まさに今、仕事を頑張って帰ってきて、家族と何気ない会話をすることが、私が生きていることなのだと感じます。オフが充実したことによって、オンの仕事も力を蓄えて取り組めていると思います。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
転職する時には自分のキャリアを棚卸ししたり、アピールポイントを整理したりするものですが、その際に転職エージェントのコンサルタントの客観的な意見に耳を傾けるのはいいことだと思います。私は、コンサルタントの方から「自責性の高い方ですね」と言っていただいたのですが、自分ではそんな風に思ったことがありませんでした。でも第三者からそう言われて気づかされ、今は自信を持って自責思考を信条としてやっているところがあります。年齢を重ねキャリアが長い人ほど「自分はこういう人間だ」とか「自分はこういう道を進む」という思い込みが強くなりがちです。でも転職活動においては、客観的な意見を素直に聞いて、真摯に受け止めることも必要なのではないでしょうか。