2021.12.25
"中年の星"錦鯉のM-1グランプリ制覇に学ぶ「アンラーニング」の極意
リージョナルキャリア広島の原田です。前回の記事で、本間正人氏(京都芸術大学副学長)が提唱する『最新学習歴の更新の重要性』に触れましたが、その中で「アンラーニング」という言葉がありました。
アンラーニングとは「学習棄却」「学びほぐし」と呼ばれ、これまでの学習で培ってきた知識や価値観に固執することなく、時代にそぐわなくなったものを意識的に捨て去り、ゼロベースから新たに学び直すことです。
キャリア開発や組織開発などのシーンで耳にすることが増えてきた言葉ですが、つい先日、このアンラーニングの賜物と感じる出来事に遭遇。それがお笑いコンビ・錦鯉のM-1グランプリ制覇です。
錦鯉(長谷川雅紀(50)・渡辺隆(43))が史上最年長のM-1王者に(画像引用:スポニチ)
日の目は見ずとも、着実に培ってきたキャリア
錦鯉といえば、スキンヘッドの"まさのり"こと長谷川雅紀さんが子どものように大きな声で手を振りながら「こ~んにちは~」と挨拶するところから始まり、終始まさのりが"バカ"をやり、相方の隆が冷静にツッコむという漫才スタイル。結成こそ2012年と二人の歴史は浅いものの、それ以前も共にピン芸人として活動しており、芸歴は20年以上。日の目を見ずとも培ってきたキャリアがあります。
年齢と経験を重ねている二人ですから、かつてはそれほど動きも大きくなく、今よりも落ち着いた会話形式の漫才をしていたそうですが、転機となったのは同じ事務所のハリウッドザコシショウから言われた「雅紀はバカなんだから、バカを押し出していけよ」という言葉だったといいます。そのときまさに、二人はアンラーニングを行ったのではないかと思います。
何歳であってもアンラーニングし、学習し続ける
実力派揃いの若手や中堅が多くひしめく賞レースの中で、"いい歳をした"二人が、誰よりもバカをやっているからこそ、そこにおもしろさが生まれています。
「こんにちは、と元気よく挨拶する」という正しいことをしているだけでおもしろいなんて、彼だからこそ為せるわざでしょう。他にも、彼が仲間と楽屋で話していて「弟が42歳と言ったらウケたので驚いた」というエピソードもあります。事実なので何もおかしなことはないのですが、確かに何だかおもしろいですよね(笑)
様々な漫才スタイルが生まれ、観客や視聴者の目も肥えている中で、年齢と経験を積み重ねた自分たちが何を披露すれば刺さるのか、今この瞬間に学習していることがひしひしと窺えます。
何歳であってもアンラーニングし、学習し続ける-変化の激しい時代に生きる私たちにとって、二人は生き方のヒントを与えてくれたような気がします。