事業を通じて、「活力ある地域」の構築と持続的な発展を目指す。
株式会社ひろぎんホールディングス
執行役員サステナビリティ統括部長 木下 麻子
慶應義塾大学卒業後、2001年に株式会社リクルート入社。営業や商品企画、人事業務に従事。ライフイベントを機に配偶者の地元である広島に移住し、2016年に株式会社広島銀行入社。人事総務部/担当課長を経て、2024年に現職に就任。
中途入社から、ひろぎんホールディングス初の女性執行役員に就任。
私は2016年に東京から広島に移住して広島銀行へ中途入社しました。前職は新卒入社した会社で、約15年にわたり営業や商品企画、人材育成に従事。その間に結婚し、3人の子どもを出産しました。育児と仕事を両立しながら、3~5年ごとに職務や役割が変わる日々は大変でしたが、非常に刺激的な日々でした。
転機となったのは、広島で暮らす夫の祖母が体調を崩し、家族の支援が必要になったことです。住み慣れた東京を離れ、やりがいのある仕事を手放すことについては悩みましたが、最終的には広島でキャリアを再スタートさせることを決断しました。
当初、銀行への転職は考えていませんでしたが、前職での経験を活かした「変革」を求められたことに興味を持ちました。入社時には、「あなたらしくやってください」という言葉を受け、実際とてものびのびと仕事をさせてもらっていて、チャレンジを大切にする当社グループに転職して本当に良かったと思っています。
今年4月には執行役員に就任し、身に余る役割に驚いていますが、これまで以上に大胆にチャレンジし、しっかり地域に貢献していきたいと考えています。
環境の変化が大きければ大きいほど、チャンスが生まれる。
銀行は前職とはまったく異なる業界ですが、これまでの経験が大いに活かせていると感じています。むしろ、前職では「100%」の力で「100」の成果を出していたことが、現在はその倍の「200」の成果になっていると感じることもあります。
自分にとっては「当たり前」でも、異なる環境ではとても重宝されることがあり、「これが中途入社者が組織に提供できる価値なのかな」と感じました。
実は、小学生の頃に似たような経験をしたことがあります。親の仕事の都合でカナダの小学校に通った時のことです。ある日の図画工作の授業で、私の描いた絵を見た同級生が「すごい!」と集まってきたんです。自分では特別なことはしていないつもりでしたが、日本人ならではの手先の器用さが珍しかったのでしょう。
それまで言葉の壁に苦しみ、日常生活ですら大変だった私が、みんなに頼りにしてもらえる居場所を見つけた瞬間でした。
これと同じように、環境の変化が大きければ大きいほど、自分らしさを活かして活躍できるチャンスが生まれるのではないかと感じています。ダイバーシティの価値ですね。
DE&Iを推進-多様性の力で企業成長を後押し。
当社に入社して驚いたのは、物事を徹底的に調べ、正確性の高い解を導いていく銀行員の知的忍耐力の高さでした。一方で、目指す状態を定義したり、それを実現するためにクリエイティビティを発揮したりすることについては、苦手意識を持っている人が多い印象を受けました。
そこはまさに私が前職で力を培ってきた領域なので、プロパーの同僚ほど緻密で正確に物事を進められない分、クリエイティビティでしっかり組織貢献しようと努力してきました。
組織や個人が多様な形で強みを活かすと同時に、弱い部分を補い、支え合う。そのことが組織を強くしていく——この考え方は「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」として社会に広く浸透してきていると感じます。
私は今、サステナビリティ統括部長としてひろぎんグループのDE&Iを推進する役割を担っていますので、多様な人財をこれからも積極的に受け入れ、活躍を促し、多様性の力で企業成長を後押ししていきたいと考えています。
「地域のために」を実感。仕事の成果が経済圏の端から端まで届く。
もう一つ入社後に強く感じたことがあります。それは「地域のために」というエネルギーの強さです。地域のためになることであれば、前例がない取り組みでも強力に推進していきます。そして、その取り組みには行政や地元企業などが賛同し、参画してくれることもよくあります。
こんなにもダイナミックに地域貢献を感じられる環境とは思っておらず、良い意味で想定外でしたし、今では私にとって大きなやりがいの一つとなっています。
東京にいた頃は、非常に大きな経済圏の中で自分ができることの小ささを感じていたので、ここまで広い影響力や貢献感は得られませんでした。
今は仕事の成果が経済圏の端から端まで届いている感覚があります。マーケットの規模は東京より小さくても、マーケットへの貢献度は東京より遥かに大きい。U・Iターンを迷っている人がいたら、「“手ごたえ”を感じられる世界が全国にたくさんあるんだよ!」と、声を大にして伝えたいですね。
「三方よし」を基盤に、広島県の持続的な発展に貢献。
当社では今年度、前年度の1.5倍のキャリア採用を見込んでおり、渉外などの銀行関連ポストに加え、グループ営業戦略やアライアンス推進、デジタルイノベーションなど、多岐にわたるセクションで多様な人材を迎え入れる方針です。
また、2024年度から2028年度の中期計画においては「活力ある地域の実現」という目標を掲げており、自社採用に関するKPIだけでなく、地域活性化に対する指標も設定しています。
優先取組課題として「人口減少の抑制」や「人的資本の投資」などを掲げ、働く世代にとって魅力的な企業が育ち、地域の雇用と所得が確保されている状態をつくることを目指しています。
優秀な人材を迎え入れることで自社が成長・発展し、お客さまの成長・発展に繋がり、そして地域全体が活性化していく。この「三方よし」を基盤に、広島県の持続的な発展に貢献していきたいと考えています。
多様な豊かさを感じられる、魅力的な地域をつくりたい。
私は東京で長く暮らしてきましたが、広島に移ってから「以前よりも圧倒的に生活が豊かになった」と感じています。
第一の理由は、ここまでお話ししてきた仕事のやりがいが大きくなったこと、第二の理由は、都市が近い自然あふれる環境で生活することによって公私ともに充実した生活を送れるようになったことです。
毎週趣味の登山を楽しんでいますが、早朝に出発して車で15分ほどで山に到着し、しっかりと登山を楽しんで朝食前には帰宅できています。こんなに有意義な時間の使い方は東京にいた頃は絶対にできませんでした。
地域への貢献、自然との繋がり——この「手触り感」こそが地方都市で生きることの醍醐味だと思いますし、この醍醐味が十分認知されていないとしたら「もったいないなぁ」と感じます。
一人でも多くの方と同じような思いを共有しながら、もっと魅力的な地域をつくっていけると嬉しいですね。